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記事作成:2013年12月3日
【2013年12月12日更新】
2013年12月9日に首相府周辺において数十万人が集まる大掛かりなデモが行われました。これに伴い、下記①、②、④の地点のデモは解散され、現在では首相府周辺においてのみ、座り込みのデモが継続されています。
この地域は一般の旅行者が行かれるケースは少ない上、市の中心部からは離れているため川沿い、シーロム、サイアム、スクンビットなどのエリアに滞在される方への影響は殆ど無い状況となっています。
また、一部の報道では『暴動』という表現が使われていますが、全く暴動と
呼ばれる要素は無く、大半が座り込みのデモであまり危険な状態ではありません。ただし、このデモに反対する別のグループによる発砲事件などが発生する可能性がありますので、デモ会場周辺には近づかない方が無難です。
今週は下記⑤、⑥、⑦の地域での時限デモも行われておらず、比較的安定した状態が続いている状況です。
歴史を少し |
2013年のデモが何故、どのように発生したかを簡単にご説明します。話は2006年9月にまで遡りますが、当時の首相タクシン シナワット氏がアメリカでの国連総会出席中、タイ国軍隊がクーデターを起こし暫定政権を設置、その後同氏に対し汚職の罪で禁固2年の実刑判決が出されたため、タクシン シナワット氏はタイに戻らず現在でも海外での逃亡生活が続いています。 |
タクシン元首相と実妹のインラック現首相 |
アピシット元首相 |
2009年、タクシン氏の義理の弟が首相在任中、当時の政権与党である「国民の力党」に対する反政府団体『民主市民連合(PAD)』=通称「黄シャツグループ」が半政府デモとして空港を閉鎖しました。この年、憲法裁判所が「国民の力党」は憲法違反であるという決定を下し党は解党、アピシット氏率いる民主党が政権の座に就きました。 |
2010年、タクシン シナワット氏の支持者が主体となっている『反独裁民主戦線(UDD)』=通称「赤シャツグループ」が、「民主党政権は正式な選挙を経ていない非民主主義政権である」として4月半ばから約1ヶ月、セントラルワールドプラザ一帯を封鎖し、デモ活動を続けました。デモ終結後、民主党は国会を解散し総選挙に臨みましたが敗北、政権を失います。そして海外での逃亡生活を続けるタクシン シナワット氏の実妹インラック氏が党首として率いる「タイ貢献党」が総選挙で勝利し政権を奪回、現在に至っています。 |
2010年 赤シャツグループにより放火されたセントラルワールド |
2010年 赤シャツグループのデモ鎮圧に使用された装甲車 |
2013年のデモの発端 |
今回のデモはインラック氏率いる現在の政権与党が2006年から続く政治抗争で訴追された人や投獄された人に対する包括的恩赦法案を可決させてことに端を発しています。この法案が可決されれば、現在国外逃亡中のタクシン シナワット氏の帰国が実現するため、野党民主党は法案に反対し、反タクシン派が多数を占めるバンコクを中心にデモ活動を行い、法案そのものは廃案となりましたが、インラック政権の退陣を求め引き続き抗議活動を続けています。このため当初は恩赦法案反対デモと呼ばれていましたが、現在では反政府デモとなっています。 |
大掛かりなデモの場所 |
①ランカムヘーン大学及びラジャマンガラ競技場 濃緑線:BTSシーロム線 緑線:BTSスクンビット線 赤線:エアポートレイルリンク 青線:MRT(地下鉄) |
ラジャマンガラ競技場 |
②タイ国財務省周辺 |
チャトチャックウィークエンドマーケットは通常営業 |
③民主記念塔周辺 |
最もデモが激しい民主記念塔周辺 |
④バンコク首都警察周辺 シーアユッタヤー通りにあるバンコク首都警察署は数千人のデモ隊に包囲されており、 警察署制圧を目指すデモ隊と警察署員がにらみ合いを続けています。2013年12月9日にこの地域でのデモは解散されました。 |
時間限定デモが行われる場所 |
⑤シーロムエリア、シーロムコンプレックス前 シーロム通り北、シーロムコンプレックス前では平日の正午を境に頻繁にデモが行われます。オフィス街であるだけに参加者は一般市民が殆どで危険な要素は少ないと思われますが、人ごみに紛れスリや置き引きも出没する可能性が高いので、デモの最中はシーロム通り沿線を徒歩で移動するのは避けた方が無難です。タニヤ通り、パッポン通り、スリウォン通り、サラデーン通り、コンベント通りなどは問題ありません。BTSの運行には全く支障がありません。 |
⑥ラマ1世通り |
⑦アソーク交差点周辺 |
アソーク交差点周辺 |
全く問題なしと思われるエリア |
川沿いエリア:シャングリラホテル、オリエンタルホテルなどがある川沿いエリア |
全く問題なしと思われる観光地 |
水上マーケット、アユタヤ、カンチャナブリ、パタヤなど全く問題ありません。 |
アユタヤや水上マーケットは全く問題ありません |
市内観光もツアーで行けます |
今回は避ける方がベターな観光地 |
ヴィマンメーク宮殿、ドゥシット動物園、ワットサケーット、ラーチャダムヌンスタジアム、大理石寺院など |
ラーチャダムヌンスタジアムのムエタイ興行は中止中 |
2013年12月3日時点でのデモの様子をご案内しましたが、何時状況が変化するとも限りませんので、現地にお越しの際は最新の情報を入手し身の回りの安全に努めてご旅行をお楽しみ下さい。 |